今回の記事では、「落ちる株、落ちない株、何が違うのか？」について、テクニカル分析の視点から探っていきます。市場全体が下がる中でも、特定の銘柄が下がり続ける一方で、他の銘柄が上昇する現象について詳しく見ていきましょう。特に、金のローテーションやテクニカル指標を使った株価の動きの見極め方について説明しています。
まず、この記事のポイントとなるいくつかのテーマについて詳しく解説していきます。
下がる株と下がらない株の違い
株式市場全体が下落している時でも、すべての銘柄が一様に下がるわけではありません。特定の銘柄が売られる一方で、別の銘柄が買われるという現象がしばしば見られます。このような現象が起こる理由の一つは「金のローテーション」です。投資家は特定のセクターや銘柄から資金を引き上げ、他のセクターや銘柄に資金を移動させることがあるのです。
例えば、コロナショック時には株だけでなく、債券や金といった安全資産まで売られるという極端な状況がありましたが、現在の市場では資金が市場全体から逃げているわけではなく、特定の銘柄が売られた分、他の銘柄が買われるという循環が見られます。
テクニカル分析の基本原則
テクニカル分析の基本原則として、「下がっているものは下がり続け、上がっているものは上がり続ける」というトレンドの概念があります。これは、「トレンドフォロー」とも呼ばれ、多くの投資家が利用する戦略です。
具体的には、株価が下がっている時に買うのではなく、下げ止まったことを確認してから買う方がリスクが低いとされています。これは、下がり続ける株を途中で買ってしまうと、さらに下がるリスクが高いためです。逆に、上昇トレンドにある株を買うことで、さらなる上昇を期待できます。
実際の銘柄で見るトレンドの確認方法
記事内で紹介した実際の銘柄を見てみると、例えばダイワボウや岩谷などは上昇局面にあり、株価が移動平均線より上に位置しています。一方で、下落局面にある銘柄としてはM&Aホールディングスやコスモなどが挙げられます。これらの銘柄は移動平均線より下にあり、一時的に戻した後に再び下落しています。
このように、移動平均線を使ってトレンドを確認することで、売買のタイミングを見極めることができます。
デジタル的なアプローチによる分析
次に、トレーディングビューの株式スクリーナーを使って、テクニカル指標をデジタル的に分析してみましょう。例えば、20日移動平均線（SMA）を基準にして株価がその上にあるか下にあるかでトレンドを判定します。
実際に4000銘柄を分析した結果、20日線より株価が上にある銘柄は平均して-0.9%の変動率であり、下にある銘柄は-1.8%の変動率を示しました。このように、トレンドの違いによって下落率に大きな差が出ることが確認されました。
テクニカル指標「移動平均線評価」の信頼性
トレーディングビューが提供する「移動平均線評価」も有用です。この指標は、移動平均線の評価を基に売りや買いの判断を示します。例えば、買いと評価されている銘柄の変動率は-0.7%であり、売りと評価されている銘柄の変動率は-1.7%から-1.9%と大きな違いがあります。
これにより、移動平均線評価がトレンドの見極めに有効であることが分かります。
状況によって変わるテクニカル分析の有効性
テクニカル分析は全ての状況において当てはまるわけではありません。市場環境や経済情勢によって、その有効性は変わってきます。例えば、市場全体が大きく下落している時には、テクニカル指標が示すトレンドフォローが必ずしも正確でない場合もあります。
そのため、テクニカル分析はあくまで一つの見方であり、他の分析手法や情報と組み合わせて判断することが重要です。
テクニカル分析の確率論的アプローチ
テクニカル分析は確率論的なアプローチです。例えば、一級入魂型の投資スタイルには向きませんが、複数の銘柄や複数回の取引を通じてトレンドを確認し、確率的に成功率を上げていく方法には適しています。
つまり、テクニカル分析を用いる際には、母数が多いほどその信頼性が増すため、多くの銘柄でテクニカル指標を確認するか、何度も取引を行うことでその効果を実感できるでしょう。
結論：テクニカル分析の重要性
テクニカル分析は、トレンドの確認や売買タイミングの見極めに非常に有用です。しかし、全ての状況で完璧に機能するわけではなく、他の情報と組み合わせて使用することが重要です。特に、下がる株と下がらない株を見極める際には、移動平均線やトレンドの確認が役立ちます。
関連する質問と回答
1. テクニカル分析とは何ですか？
テクニカル分析は、過去の価格データや取引量を基にして、今後の価格動向を予測する分析手法です。主にチャートや指標を用いてトレンドやパターンを見極め、売買のタイミングを判断します。
2. 移動平均線の役割とは？
移動平均線は、一定期間の株価の平均を取ったものです。短期、中期、長期の移動平均線を使うことで、トレンドの方向性や転換点を見極めることができます。株価が移動平均線を上回るか下回るかで、トレンドの強さや変化を判断します。
3. 金のローテーションとは何ですか？
金のローテーションは、投資家が特定のセクターや銘柄から資金を引き上げ、別のセクターや銘柄に資金を移動させることを指します。これにより、一部の銘柄が売られる一方で、他の銘柄が買われる現象が生じます。
4. テクニカル分析とファンダメンタル分析の違いは？
テクニカル分析は価格データや取引量に基づく分析手法であるのに対し、ファンダメンタル分析は企業の財務状況や経済環境を基に評価を行います。テクニカル分析は短期的な価格動向を予測するのに適しており、ファンダメンタル分析は長期的な投資判断に用いられます。